2013年6月23日日曜日

「便益」という概念

先日参加したある研究会で技術系の先生が、便益という概念があまりにも一般に知られていない、というようなことをおっしゃっていました。
経済学を、特に環境経済学をかじってきた人間からするとあまりに当たり前で今さら説明するまでもないことのように思っていましたので、これは盲点でした。

便益は(利潤に加えて)金銭にあらわれない価値も含めた益すべてを指します。
benefitの訳語です。

自分の知識だけでは心もとないので有斐閣の『経済辞典』で「便益」をひいてみました。
……。
項目がありません。

次に電子辞書に入っているスーパー大辞林3.0をひいてみました。
「便利で有益なこと。都合の良いこと」
記述が少ないです。

岩波の国語辞典第六版もひいてみます。
「便利。都合よくて利益のあること」
やはり記述が少ないです。

便益という単語は英語のbenefitの訳語として一般に使われます。
そこでbenefitを辞書で探してみます。
英和をひいても仕方ないので英英辞典の方で。
日本語よりもボリュームはありましたが、主たる意味としてはやはり同程度でした。
Oxfordの7th editionからは"an advantage that something gives you; a helpful an useful effect that something has"と第1義にあり、第4義まで記述されています。
しかしわたしがここで説明したい内容は含まれていませんでした。

しかたがないので自分が思うところを述べてみます。

便益=benefitの概念は利潤=profitと並べると理解しやすいと思います。
わたしを含め環境経済のまわりにいる人は誰もがこのふたつの概念をはっきり区別しています。

利潤とは、「企業の総売上額からその生産ないし販売に要したすべての費用を差し引いた残差」(有斐閣、経済辞典)で要するに金銭的な儲けのことです。

それに対して便益は(利潤に加えて)金銭にあらわれない価値も含めた益すべてを指します。

地熱発電事業を例にとって考えてみましょう。
発電した電力を販売して得た代金から発電にかかったお金(設備、人件費など)を差し引いた金額が利潤です。
地熱発電したことで火力発電の炊き減らしができて二酸化炭素減ったぞ、というのが便益です。
便益はたぶん他にもあると思います。

実はいいたかったのはこんなことじゃなかったとここまで書いてきて気づきました。
続きはまた明日にします。

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