2013年6月12日水曜日

大学の授業が変わる-求められるアクティブラーニング-(京大サロントーク講演より)

昨日行われた第80回京大サロントーク講演「大学の授業が変わる-求められるアクティブラーニング-」に行ってきました。
講演者は京都大学高等教育研究開発推進センターの溝上慎一先生です。
今回のレビューは前のシンポジウムと違ってゆるい感じでやろうと思います。


大学の講義は旧来、教授から学生への一方的な知識の発信という形が中心でした。
しかしそれでは教育として不十分だ、ということで「教える(teaching)から学ぶ(learning)へ」をスローガンとした授業・カリキュラム改革が近年の大学教育改革の世界的な流れのひとつになっています。
学生が教員の伝えたかったことをどれだけ学んだか、に焦点を当てるように視点の変化が起こっています。
また大学には知識を習得するという機能だけでなく知識活用能力を養成するという機能も求められるようになっています。
想像されるとおり、この分野で日本は国際的に遅れをとっているようです。

そこで溝上先生はこの伝統的な大学観の転換を目指す文脈でアクティブラーニングということばを「一方的な知識伝達型授業における学習者の受動的学習に対する能動的学習の総称」と定義しています。
ひとくちにアクティブラーニングといってもそこには様々な型があるそうですが、そのいずれもが一般的でなく、日本の大学教育についてはまず旧来の知識伝達だけを主眼とした教育観を転換することが必要だとの趣旨から、ということです。

総論のあとは実際にどんな手法が講義で使われるのか、溝上先生が全学共通科目として提供している講義での経験なども交えて話がありました。


受動的に教授の講義を聞いて板書をとって知識を丸暗記するだけでなく、その知識をどう自分のものにするか、その知識をどう活用するかが重要だという議論はまったくその通りだと思います。
ところがいわゆるアクティブラーニングを実践しようとすると教える側も準備やその後のフォローに相当コストをかけることが必要になります。
多くの大学教員は研究でも教育でもない仕事をかなり抱えているという面があって、なかなかきちんと講義の準備に時間を割けないということも日本でアクティブラーニングがなかなか普及しない一因なのではなかろうかと感じました。
これはそんなに真新しい話じゃないですが、かといってほったらかしていい問題でもないでしょう。

環境とエネルギーについて勉強している身としては、これらの問題がたくさんの人の意識が変わらないと改善しない問題であるがゆえに、教育に関心があります。
どうしたらこれらの問題を自分のものとして捉え、考えや行動を変えてもらえるか。
こう書くとある種、政治的なプロパガンダと似通ってきてしまいますんでちょっと怪しげな香りもしますが、よりよい地球を後代の人々に残していきたいという考えに極端に反対する人はそんなにいないと思うのでそこは勘弁して下さい。


教育とは少しずれますが、環境の問題を研究の対象としていても窓を開けっ放しで25℃で冷房つける人もいるので、言行一致というのは難しいものだと思います。
なるべく言行が一致するように心がけてはいますが、それにあまり縛られると何もいえなくなるので、バランスがまた難しいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿