2013年5月31日金曜日

ピースサイン

またしても突然ですが、わたしは写真を撮られるときに人が人差し指と中指だけを立てて見せる、いわゆるピースサインが嫌いです。
なんとなく阿呆らしく見えてしまうからなのですが、それがどうして阿呆に見えるのか、という質問に対して説得的な説明を与えることはできません。
封印された記憶の中で誰か自分の気に入らなかった人がよくそうして写真に写っていたからかもしれません。

得てして人の好みや趣味というのは理不尽なものです。
人の好みも自分の好みも所詮その程度のものと思えば、色々な違いを許せるようになる気がするのですが、どうでしょうか。

2013年5月30日木曜日

梅雨

雨が降ると通学に困ります。
二輪で30分およそ15kmは雨中を走るには少々長いものです。
それでも金銭的・時間的コストが公共交通機関を使用するより圧倒的に安いので、よっぽどの強風や豪雨にならない限りは二輪で通っています。

2013年5月29日水曜日

ワークショップ 独におけるエネルギーシフト -再生可能エネルギー・電力自由化・地域再生- 第2部

前回の続きです。


●アイケ・ヴェーバー氏(フラウンホーファー・ソーラーエネルギーシステム研究所・教授)
"The Energy Transition as an Economic Challenge and Opportunity"

・破滅的な気候変動の危険性および化石燃料の有限性ゆえに、エネルギーシフトが望ましい
・この分野で世界に先がけて行動することにより「先行者の利益」を得ることもできる

・日本は再生可能エネルギーの豊かな国
・エネルギーを貯蔵する技術の開発、電力網の拡大が必要

・世界のエネルギー需要は16TWy(2009年)、2050年には26TWyに
・太陽光は毎年1000TWy(※1、2)分降り注いでおり、これこそが未来のエネルギー源である(石油やガスは有限で太陽光に比べて総エネルギー量も少ない)
・エネルギーに関して保守的なIEAですら2050年までに3000GWの太陽光発電設備の導入を見込んでいる
※(1)1TWy(テラワットイヤー)=24hours×365days×10^9kWh=8.67×10^12kWh
※(2)太陽光エネルギーの賦存量はメモに自信ががなかったのでWikipediaから数字をとっています

・将来のドイツの電力消費水準はエネルギー効率の向上と交通部門への電力エネルギー導入の効果が相殺し、現在とあまり変わらない見込み
・電力の供給側は再生可能エネルギーへとシフトしていく

・Decentral=非集中型、スマートグリッド
・超電導電力網
・電力の流動性

・電力網の安定性向上のためには多様な再生可能エネルギーの導入が必要
・電力を季節に応じて貯蔵、消費するシステム(夏に貯蔵して冬の暖房に使用する、など)

・エネルギーシフトは不可避であり、重要な役割を果たすのは太陽光と風力
・日本にはドイツより多くの資源がある

・エネルギーシフトには初期コストがかかるが、再生可能エネルギー中心のエネルギーシステムが完成すれば電力価格は現在と同じ水準に落ち着く、エネルギーシフトを行わなければ将来の電力価格は現在よりも高くなる
(出典がありましたが見つけられず……)


諸富徹氏(京都大学大学院経済学研究科・教授)
「再生可能エネルギーの促進と、地方自治体のイニシアティブの役割-長野県飯田市の例」

ドイツでは再生可能エネルギーへの投資のうち個人の投資分が37.4%、農家が19.8%、個人事業家が8.1%などとなっており(2010年)企業体以外からの投資が大きな割合を占めている
・日本の現状では大企業が再生可能エネルギー市場をほぼ独占しており、住民による地域主体の事業を促進していくことが課題

・飯田市における住民主体のNPO「おひさま進歩」(2004年~)
・幼稚園の屋根に3kWの太陽光パネルを住民からの寄付により設置、教育効果をあげている
・「おひさま進歩」は2004年12月に「おひさま進歩エネルギー有限会社」を立ち上げ、太陽光発電事業を開始
・2ヶ月で460の個人、法人から2億150万円の出資を受け事業開始
・年率1~3%のファンドを運営
・現在は小水力発電の導入も検討中

・住民または住民が設立した組織が事業主体となること
・収入増や雇用の創出にも効果
・地域の金融機関と協力し、地域の中で資本が還流する仕組みを
・住民の「社会資本」への投資が必要


●ハビル・ウルズラ・アイカー氏(シュトゥットガルト応用科学大学持続可能エネルギー技術研究センター所長・教授)
"Urban energy efficiency and renewables - case studies from Baden Wüttemberg"

・エネルギー需要を減少させるため住宅のエネルギー効率の向上に取り組んでいる
・住宅を3Dモデリングして分析することで、建替え時の効果的な断熱構造の導入につなげる
・エネルギー効率的な都市のエネルギー消費の50~80%はその地域の再生可能エネルギーでまかなえる


●ヴォルフマン・レッセル氏(シュトゥットガルト大学総長・教授)
"Best practice examples of energy shift - The impact of university research on energy shift"

・製造業におけるエネルギー効率向上の重要性
・産業部門はドイツの最終エネルギー消費量の3割を占めている
・産業部門でのエネルギーロスについてはまだまだ改善の余地がある
・産学が連携して研究開発を行なっている


森晶寿氏(京都大学大学院地球環境学堂・准教授)よりコメント

・ドイツの再生可能エネルギー導入による雇用創出について、設備そのものは中国や韓国が生産していることが多い。その点も考慮すると経済に与える影響はどのようになるか
(ヴェーバー氏より回答)
・設備のうち50%はドイツで生産しているものを使用しており、再生可能エネルギーへの投資のうち60%は資本が国内に留まっている
・太陽光発電で中国が強いのは最新の設備を積極的に導入しているためで、人件費が安いからではない、政府からの援助も重要な役割を果たしている
・関税を使って輸入を制限するのは好ましくない
・生産にも投資促す仕組み必要
・増える需要に対応するため、生産側にも変化が必要



最も印象に残ったのはヴェーバー氏のプレゼンテーションの中の「エネルギーシフトには初期コストがかかるが、再生可能エネルギー中心のエネルギーシステムが完成すれば電力価格は現在と同じ水準に落ち着く、エネルギーシフトを行わなければ将来の電力価格は現在よりも高くなる」という箇所でした。
どのようなモデル、試算から導き出された結論なのか、ぜひ自分で検証してみたいところです。
数年後に……。

2013年5月28日火曜日

ワークショップ 独におけるエネルギーシフト -再生可能エネルギー・電力自由化・地域再生- 第1部

前前回前前前回に引き続き、去る5月24日に行われたワークショップの模様です。
長くなるのでまたしても2部構成で提供いたします。
赤いとこだけでも読んで頂ければ幸いです。


●植田(うえ)和弘先生より導入

・2011年現在、日本の電力供給に占める水力以外の再生可能エネルギー電力の割合は1.4%のみ
日本は人的資源以外の資源に乏しい国だといわれるが、再生可能エネルギーについては相当なポテンシャルがあり、むしろ資源は豊富だといえる

・再生可能エネルギーの普及に向けては課題が多い
・接続優先権の問題
・普及に必要な費用をどう負担するか
・北海道や東北地方にポテンシャルが偏在しており、消費地から遠い

・再生可能エネルギーの普及促進のためには固定価格買取制度=FITのみでなく、発送電分離も重要
・エネルギーの民主化にも密接に関連する


●テレジア・バウアー氏

・ドイツの目標:2050年までに電力供給の80%、総エネルギー需要の50%を再生可能エネルギーでまかない、CO2を80%削減する

・"Green Industrial Revolution"「緑の産業革命」は市民によって推進されるもの
・気候変動を抑え、環境と調和する社会、経済を目指す
・技術的な変革だけでなく、社会的な変革も必要
・学術部門がもっと社会にアプローチしていく必要がある
・日独で世界を先導していける


手塚哲央氏(京都大学大学院エネルギー科学研究科・教授)
「再生可能エネルギー利用促進に向けた電力システムの再設計」

・日独の1次エネルギー供給、および電力供給に占める各エネルギー源の割合について
・経済の発展に伴い石油の消費量が増加、石油危機以降は石油のシェアが減少し、代わりに天然ガスと原子力の割合が増加

・供給が需要に適応するシステムから需要が供給に対応するシステムへの変革が必要
・巨大な設備による一極集中のシステムから小規模施設による分散型システムへの変革が必要

・暗闇の中の巨像の喩え
・各人が各所から視たのでは全体像を捉えることができない
・各分野の研究者が互いに協力し、エネルギーについていかに学び、教え、研究すべきか考えるべき


●アルミン・グルンヴァルト氏(カースルーエ工科大学・教授)
"Energy shift in Germany and the role of civil society"

・かつてドイツでも巨大な電力会社が4社あり、電力事業を独占、強力な政治的発言力を有していた
・市民が古い政治決定のあり方や結果に反対するようになり、エネルギー部門についてこれまで行われてきたトップダウン型の意思決定が批判されるように

・エネルギーに関する意思決定により多くの主体が関わる必要がある("government"から"governance"へ)
・トップダウン型とボトムアップ型の意思決定のバランスをどうとるかが重要

・ヨーロッパにおける新たな技術に対する評価(可能性とリスク)に関する経験の蓄積

・分散型エネルギーシステムへの以降に必要な施設がNIMBY的な(Not In My BackYard、必要性は認めるが自分の近所に設置することを嫌う、総論賛成各論反対と似ている、かも)扱いを受けることも
・例えば風力発電機についてその騒音や振動、日照を遮る、といったことを理由に反対される場合
・自らがその意思決定に参加したか、他者から押し付けられたかによって感じ方が変わることも多い


●長山浩章氏(京都大学国際交流推進機構国際交流推進センター・教授)
「日本の電力産業:福島原発事故後の改革への提言」

・エネルギー源の多様化(地熱、ロシアからの天然ガス、原子力の再稼働、洋上風力など)
・再生可能エネルギーの段階的な導入
・既存の事業者と新規参入者の公平な競争、その手段としての発送電分離
・送電システムの管理のため政治的、財政的に独立した監督組織
・地域をまたいだ系統接続
・エネルギーと電力分野におけるイノベーションが必要


○グルンヴァルト氏よりコメント

・日本のFITについて、太陽光発電の導入が相当な量にのぼっている。これをどうコントロールするつもりなのか。太陽光発電の導入が過剰になったスペインのケースもある
(植田氏より回答)
・買取価格しか調整手段はない。そもそもFIT導入から3年間は高い買取価格をつけて急速な普及を進める、という法律をつくっている。買取価格を下げるのはそれから

・(長山氏のプレゼンテーションについて)分散型エネルギーシステムに向けてのミクロの取り組みはどのようになっているのか
(長山氏より回答)
・スマートシティ構想などがある(グルンヴァルト氏は市民がどう参加してゆくのか、ということを念頭において質問したようでしたが、長山氏にはあまりその意図が伝わっていないようにわたしからはみえました)
(グルンヴァルト氏より再度コメント)
・例えば太陽光発電パネルに2kWhの蓄電池を併設すれば太陽光発電による電力の6割を自家消費することができ、系統への負担を大幅に減じることができる(蓄電池がない場合は自家消費できる割合は3割程度)


第2部に続く。

2013年5月27日月曜日

ドケチ

ドケチといえばきり丸ですが、実はスコットランドのスコティッシュもケチで有名だそうです。
首都エディンバラの時報の空砲は午後1時に打たれるのですが、その理由は正午だと12発必要でもったいないからだとか。
ほんとうか嘘かわかりませんが、スコットランドにルーツのあるわたしも少しそんなところがあるようです。

駅から1時間かけて歩いて帰ってくるとか、ね。

2013年5月26日日曜日

クレッチマン州首相を迎えてのシンポジウム「日独におけるエネルギーシフト-地域社会と市民の役割」~第2部

前回の続きです。
23日のクレッチマン氏の講演に続くパネルディスカッションの模様をまとめておきます。


福山哲郎氏より

・2011年3月11日14時26分に地震発生、すぐに危機管理センターへ(当時内閣官房副長官)、それから4日間不眠不休で対応
・同日15時30~40分ごろ、福島第一原発の電源喪失、冷却機能停止の報
・夕方から電源車手配のオペレーション←交通、通信が途絶しているため官邸主導で手配
・12日早朝に60台が現場に到着したがスペック等が適わず使用できなかった→東電への漠然とした不信感

・原発事故の影響の大きさ
・エネルギー問題への関心の高まり
・原子力発電所の抜本的な安全対策への要求
・安全神話の崩壊
・電力需給が経済に与えるインパクトを意識

・民主党政権時代の原子力発電所に対する政策に関して説明


●テレジア・バウアー氏(バーデン・ヴュルテンベルク州科学・研究・芸術大臣)より

・国内のコンセンサスでエネルギーシフトを決めたが、この決定までに数十年かかった
・困難も多くあり、学術の果たすべき役割は大きい、またこの問題に集中して取り組む必要がある

市民の意に反した形でエネルギーシフトは実現しない
・市民の行動の変化を促してゆく必要がある
・行政、学術、産業の全てに市民が参加してゆくことが必要


●植田(うえ)和弘氏(京都大学経済学研究科長)のコメント

・大学の研究者が地域に入って深く関わっていることがドイツで印象的だった
・「緑の産業革命」にむけて社会が動いている
・ドイツは様々な課題を解決しながら世界を先導してきた


●クレッチマン氏
(ドイツが直面してきた/している課題について)

・再生可能エネルギー増加による電力網の整備、強化
・電力価格の上昇
・再生可能エネルギーの不安定な出力をカバーしうるガス火力発電所への要求
・余剰電力でガスを精製することによる蓄電
・今後バーデン・ヴュルテンベルク州での風力発電の普及を進める


●フロアからの質問
(ここではわたしの印象に残ったもののみとりあげています)

・ドイツに「原子力ムラ」に相当する構造は存在するのか?
→バウアー氏より
 原子力系のロビーはあったが(緑の党支持者だけでなく)市民全体が信頼しなくなり、発言力が低下した

・今後廃炉になってゆく原子力発電所の立地地域に対し、雇用面での施策は検討されているのか?
→福山氏より
  自民党政権では検討されていない。(個人的な見解だが)原子力発電所の立地地域を原子力発電所が稼働していなければ苦しい状況に追い込み、再稼働の理由にしようとしているのではないか。

・(嘉田滋賀県知事より)緑の党が選挙に勝ったのはなぜか?
→クレッチマン氏より
 原子力の危険性について20年以上に渡り警鐘を鳴らしてきた先見性が評価されたのではないか。バーテン・ヴュルテンベルク州のイノベーティブな気風も影響。福島第一原発事故は要因のひとつに過ぎない。


23日に関しては以上です。
24日のワークショップはまた明日以降に。

2013年5月25日土曜日

クレッチマン州首相を迎えてのシンポジウム「日独におけるエネルギーシフト-地域社会と市民の役割」~第1部

去る5月23、24日に行われたクレッチマン州首相を迎えてのシンポジウム「日独におけるエネルギーシフト-地域社会と市民の役割」に関する備忘録です。
長いので3部構成(予定)にしようと思います。
今日は23日のバーテン・ヴュルテンベルク州ヴィンフリート・クレッチマン州首相の講演についてまとめておきます。
例によって赤いところだけ読めばいいようにしておこうと思います。

ひとことでいうと、ドイツもここまでエネルギーシフトを進めるのにチェルノブイリから25年以上かかったんだ、ということです。
日本は福島での事故を経験してからまだ2年です。
だいぶ人々の意識は変わっていると思いますが、本格的なエネルギーシフトにはまだまだ時間がかかるのではないかと感じました。
タイトルにもある通り、クレッチマン氏や後で話をされたバウアー氏も、エネルギーシフトのために市民が果たす役割を再三強調していました。

以下講演の内容です。

2013年5月24日金曜日

Internship

わたしが在籍している大学院はインターンシップが必修となっています。
入学当初は明確にどこでインターンをしたいというのはなかったのですが、師匠からありがたい話をいただきまして、先方とのやり取りの結果Cambridge Econometricsでインターンシップをさせていただけることになりました。

趣旨は、ヨーロッパで主に炭素税導入による経済や二酸化炭素の排出についてシミュレーションを行うのに使われているE3MGモデルについて学ぶことです。
モデルの構築や実際の運用について学び、アジアを包括するモデルにE3MGを発展させることに貢献するのが当面の目標です。
加えて将来的に自分自身で独自にモデルを構築し、研究を進めるための基礎としても役立つように知識や技能を身につけたいと思っているところです。

とりあえず、渡英するまでに一定程度プログラミングを身につけなくては……。
Oxと計量経済学を、あと2ヶ月で。

※7月7日修正

2013年5月23日木曜日

再エネ導入量~見せかけの罠

たまには真面目な話をしようと思います。
たくさん読むのが面倒な人はとりあえず赤字のところだけ読んでもらえればうれしいです。
参照元→再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します(資源エネルギー庁)

昨年の7月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度がはじまりまして、太陽光・風力・中水力・バイオマス・地熱の各発電方式による電力は一定の価格で買い上げてもらえることになりました。
これらの発電方式に対して利益を保証することで投資を呼び込み、普及を促そうというわけです。

冒頭の資料によると2012年4月から2013年2月までの再生可能エネルギー発電設備の導入量は166.2万kWだということです。
設備容量としては標準的な原子力発電所の1.5倍強に相当します。
2011年度末までの累積導入量が2,000万kWですから、今まで20年以上かかって積み重ねてきた分の8%も1年で増やしてきたことになるでしょうか。
まだあと2ヶ月残っているので最終的には10%に近いところまでいくかもしれません。

そのこと自体はまずまず喜ばしいことですが、単純にこれでいいというわけではありません。
問題は山積みです。
むしろ問題しかないといっていいかもしれません。
あまり手広くやってたくさん裏付けをとってこないといけなくなるのが面倒なので、簡単なところでいくつか指摘してみたいと思います。

まず最初に、電力に関しては設備容量=発電量ではありません。
設備容量というのはパワプロでいう最高球速のようなもので、最も条件のよいときにどれくらい電力を生産できるかという値です。
いくら設備容量が大きくても設備利用率が低ければ電力供給には貢献しません。

導入量166.2万kWのうちおよそ94%にあたる155.9万kWが太陽光発電です。
太陽光発電の設備利用率はだいたい10%台前半のようです。
参考→コスト等検証委員会報告書(平成23年12月19日)参考資料1
    資源エネルギー庁・電力調査統計 平成24年度2-(4)
他の発電方法と比べると太陽光発電はかなり非効率です。

また、発電された電力が使われなければ火力発電の炊き減らし、化石燃料の消費削減にあまり貢献しません。
あるいは発電設備が既存の電力系統にきちんと接続されて生産した電気を使える状態になったとしても、発電量が不安定なため瞬間的に電力が不足する事態を防ぐ目的で火力発電を待機させておく必要があるという問題もあります。

そもそも太陽光発電が導入量の9割以上という点も問題です。
挙動の違う発電方式を色々と揃えた方がシステム全体としては安定をとりやすくなります。
打線の中で全員が同じ時期に調子がよくなるより、誰かが調子が悪いときは他の誰かが調子がよくてお互いにカバーしあう方がシーズン通して安定した得点力を発揮できるのと同じです。

それから認定を受けた設備容量と運転開始した設備容量の差も問題です。
リンク先の別紙1をみると、「2012年4月~2013年2月末までに運転開始した設備容量」166.2万kWに対して、「(参考)2月末までに認定を受けた設備容量」は1305.9万kWと文字通り桁違いです。

内訳をみると最も運転開始した~と認定を受けた~で差があるのは太陽光(非住宅)です。
認定容量1102.2万kWに対し運転開始容量42.2万kWで、絶対量でみても割合で見ても運転開始した設備容量がこの中で最も少なくなっています。

これをどう説明するかですが、さしあたり以下2点をあげておきます。

1つ目は認定から設置までに物理的に時間がかかること。
パネルを買って運んで設置して、電線を引いてなどなどそれなりに時間がかかりそうです。
設備が大きくなれば電力を受け入れる電力会社側にも準備が必要ですから、そのあたりもあるかもしれません。

2つ目は認定を受けた事業主が太陽光パネルの値段が下がるのを待っているのではないか、ということ。
実は固定価格買取制度に則って電力を買い取ってもらえる認定を受けても、いついつまでに設備の運転を開始しなければならないという規定はありません。
参考→電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法

よって投資する側は認定を受けてすぐに設備を設置するよりも、設備の値段が下がるのを待って設置したほうが儲かります。
固定価格買取制度はそもそもの原則として年を経るに従って買取価格を下げていくべきものなので、買取価格が高いうちに認定だけとっておくという行動に出る企業が出るのは当然です。

いざ実際に発電がはじまってから行われる電力の買い取りは電力需要者、つまりわたしたちが払った電気代から支払われます。
高い買取価格はそのままわたしたちに降りてくるわけです。

認定容量は2月の1ヶ月で倍になっています。
買取価格は年度毎に改定されるので、買取価格が高いうちに認定をとろうという駆け込み申請を疑ってもあながち間違いとはいえないと思います。
この傾向は来月発表されると思われる3月末までの容量にもっと如実に現れてきそうです。



いやはや罠だらけでございます。
めんどうだったのであまり取り上げませんでしたが、再生可能エネルギーの系統接続や系統強化のために必要な投資も大きなテーマです。
そして発送電分離も。

2013年5月22日水曜日

死ぬ気でやる……?

わたしは生きる気しかないので、たとえ喩えでも死ぬ気で何かに取り組むということはできそうにありません。
死にそうになりながら取り組むことはこの先もいろいろとありそうですけれども。
なんとなく飛天御剣流奥義「天翔龍閃」を思い出します……ね?

簡単に「死ぬ」というより無言で生き続けるほうが意味があると思っています。
そしてまた生き続けることで価値のあるものを生産したい、とも。

とりあえずインターンシップの可否を決める明日の面接をどうにか乗り切りたいと思います。

2013年5月21日火曜日

文章の引力

最近は英語で書かれた論文を読むことが多くなっています。
E3MGという、イギリスで開発されたモデルまわりを勉強していまして、これがほとんど日本では紹介されていないためです。

そのためか自分が日本語でレポートを書いていてもなんとなく英語を訳した日本語になってしまっています。
もともと幼少期をイギリスで過ごしたこともあって英語も半ば母語として認識されているので、英語に引きずられやすいのかもしれません。

日本語でも特定の作家の作品ばかりを読んでいる時期に文章を書くと、その作家の文体に引っ張られて似た文章を書いてしまうということは頻繁に起こります。
外からの影響に左右されない自分の文章をつくるということはなかなか難しいものです。

2013年5月20日月曜日

研究室にブドウ糖

研究室で長い時間過ごすので、ちょっとしたエネルギー源としてブドウ糖を買ってきました。
1袋100g入りで335kcalなので、6袋食べれば人間が1日に消費するエネルギー約2000kcalをまかなうことができます。

他の菓子類と違ってブドウ糖のいいところは、コーヒーに入れる砂糖の代替物になることです。
買った翌日に気がつきました。
早速今日コーヒーに入れてみましたが、思いのほか甘くなりません。
入れる量が少なかったからかもしれません。
たくさん入れると損をした気分になりますが、かといって入れたのに甘くないとそれも損した気分なのでなかなかバランスが難しいところです。

コーヒーを飲みながらブドウ糖をかじる、というお茶うけとしての運用のほうが同じブドウ糖でもより高い効用を得られそうなので、次からはそうしようと思います。

2013年5月19日日曜日

わたしたちの本能

恋愛や結婚なんてどうでもいい、という人を見かけると、人間の動物としての本能はどこへ行ったのだろうと不思議に思います。
あるいは同性愛についても。
そうした性向の方が嫌いだとか、認められないということではありません。

先ごろ津田マガで同性婚の話題が取り上げられていましたが、同性のカップルが体験する種々の制度上の不便さみたいなものは解消した方がいいと感じます。
自分のまわりにそういう性向の方がいないのでよくわからないところもありますが、わたし自身が誰かの同性愛の対象にならなければ特に問題にする理由もありません。
当人たちが幸せで、誰も迷惑していなければそれでいいと思います。

しかし人の社会は時を経るにつれて動物としての本能を置いていくように感じます。
あるいは個体数が増えすぎて、数が少なかったころは目立たなかったマイノリティーが目立つようになっただけのことかもしれませんが。

2013年5月18日土曜日

第7回エコール・ド・東山

お誘いをいただきまして、第7回エコール・ド・東山(とうざん)にお邪魔してきました。
エコール・ド・東山に関して詳しくはこちら

お題がふたつありまして、それぞれ自分と違う分野の研究の様子をかいま見ることができてとてもおもしろかったです。

「最先端観測衛星でみる太陽のほんとうの姿」
渡邉晧子さん(京都大学宇宙総合学研究ユニット・学術振興会特別研究員PD)


宇宙からみたオーロラ。



コロナ質量放出。

遠くから見ているとじっとしているように見える太陽も、実は活発に活動しているんだという話をビジュアルを交えながら解説していただきました。
最近の太陽は活動期にあるそうで、2016年ごろに活動のピークを迎えるのでオーロラを見に行くのにおすすめだということでした。
個人的には太陽のコロナ質量放出が地球の磁力バリアまで飛んできてオーロラを発生させるまでの動画が一番気に入ったんですが、残念ながらネット上には転がってませんでした。


「植物の気孔づくりの戦略」
菅野茂夫さん(京都大学大学院理学研究科特別研究員)

植物の気孔の数を調節するペプチド、ストマジェンに関するお話でした。
植物のどの遺伝子が気孔の形成を促しているのか、気孔が増えたり減ったりするとどうなるのか、という内容で写真やグラフでわかりやすく解説していただきました。
内容もさることながら、個人的には植物の遺伝子を解析したら自分の論文に必要な部分以外にも、解析したデータをすべてネット上のデータベースにアップしなければならないという業界のルールにも興味惹かれました。
どうやってルールの実効性を担保しているのだろうと思いましたが、論文を発表する際に行った分析はデータベースにアップされていないといけないということで、当然ながらうまい仕組みだと別のところで感心してました。


話を聞きながらもしも自分がこうして話をするならどうしようか、と考えていましたが経済の話を視覚化して見せるというのはなかなか簡単でない気がしました。
少なくともフレアやプロミネンス噴出みたいなインパクトはないですから、どんな工夫をしようか、別に登壇するわけでもないのにぼんやり考えています。

2013年5月17日金曜日

先の先

研究会に呼んでいただきました。
今まで本でしかしらなかったような方々ばかりで、話を聞くばかりでしたがとてもおもしろい話がいろいろ聞けました。
先の先を見ている人たちの間で、自分もなるたけ早くそこにたどりつきたいものだと思いました。

まだ体が思うように働いてくれません。
目が……。

2013年5月16日木曜日

5月病

5月病です。
といってもポジティブな5月病ですが。
つまり4月からあまり調子に乗ってあっちこっち飛び回っていたのでここ最近の気温の変化に体がついてこれなかったということです。

少し休もうと思います。
ここは休まないようにしようと思いますが。

2013年5月15日水曜日

飲み会嫌い

突然ですがわたしは飲み会が嫌いです。
特に大人数での、同世代での飲み会が嫌いです。
特にまだ参加者のほとんどと知り合ってまもなく、名前もあやふやな状態での飲み会が嫌いです。

どんなに大人数になろうと話の輪はせいぜい4人くらいにしかなりません。
話の輪が3人以上だともっぱら聞き手にまわり、他の人の話を(多くの場合興味のない話を)延々と聞くだけになります。
興味のない話だとわりこむネタもなく、かといって話題を変えるだけの力量もないのでつまらないままです。
運良く1対1に持ち込めればそれなりに話もできますが、たいてい誰かがやってきて3人以上にしてしまうので聞き手にまわることになります。

飲み会や食事会は4人か6人が一番いいです。
少人数でも奇数だといつの間にか仲間はずれになっているので偶数で。

それから、あの飲み会特有のハイテンションにもたいがいついていけません。
まわりのテンションと自分のテンションはほとんどの場合反比例します。
最初から参加しているとごくまれに波に乗れることもありますが、逆に途中参加だとどうしようもありません。

同じことを感じている人は案外たくさんいるような気がするんですが、どうでしょうか。

そういうわけで最近は大人数での飲み会に参加しないようにしております。

2013年5月14日火曜日

撮ることと自己主張

写真を撮るおもしろさは、自分が撮った写真は自分がそこにいたことの証明なのに、撮った写真に自分は写っていない、というところにあると感じます。
自分の姿を見せないことで自分の存在を主張する、矛盾したありかたがおもしろい。
携帯が普及してしまってからは自画撮りが簡単にできるようになってそんなあり方も崩れてきているようですけれどもね。

人はみな、それぞれに違った色眼鏡で世界を見ているようです。
その「見方」が直接あらわれるのも写真のおもしろみだと思います。
海外から来た観光客の方の中には家の玄関先にねこよけとして置いてある水で満たしたペットボトルや、住宅街であちらこちらに伸びている電線・電柱に感じるものがあってシャッターを切る方もいるそうです。
日本にしかない風景だからだとか。
逆に日本人が海外で、現地の人たちにとっては当たり前のものに関心をもつこともあるでしょう。


ねこのあくび


幸せな午睡


同じ猫を撮っても違う人が撮れば違う写真になります。
同じ内容を表現しようとしても違う人が書けば違う文章になるのと同じです。
思い通りに自分を表現したければ最低限の作法を学ぶ必要があるところもまた共通かもしれません。

なお上の写真2点は違う場所で違う猫をわたしが撮ったものです。
本文の内容とは特に関係ありません。
愛らしい猫を楽しんでいただけたなら幸いです。

2013年5月13日月曜日

これから家庭をつくる世代が女性手帳以上に必要としているもの

女性手帳の1件がいろいろなところで議論を呼んでいますね。
わたし自身もそんなに遠くない将来に結婚や出産や育児を経験しようという身なので、たいへん興味を持ってこの話題を眺めています。
わたし自身が考える少子化対策は

同世代の友人(20代前半)と話をしていると、結婚することやその後のことを考えていない人が多いと感じます。ただ、それが考えていないからかというとそうでもないようです。
考えてもイメージが湧かない、想像がつかないからアイデアがまとまらず、考えていないのと同じ帰結につながっているとわたしは思います。

その理由のひとつは、自分たちの親世代以外に「出会って」「結婚して」「家庭をつくる」過程をほとんど知らないことでしょう。
自分たちの親世代といえば今よりずっと女性が専業主婦になることの多かった世代です。
男性が稼いで女性が家を守る、というステレオタイプを生まれてこのかたずっと見てきて、それ以外のモデルを知らなければ、より高い教育を受けて働く 女性が多くなった今、どんな人生設計をすればいいか想像しにくくなることは当然だと思います。

そう考えると処方箋はいろいろな人生を伝えること、だと思うのです。
実は誰もが思い浮かべる人生のステレオタイプと違う生き方をして、家庭をつくっている人はたくさんいます。
そういう人たちがどんな生活を送っているのか、どんな苦労をしているのか、そんなことを見聞きすれば自分の将来のことを考える一助になるでしょう。

安倍さんたちがやろうとしていることはそれと逆行していると感じます。
環境政策の望ましいあり方としていわれることに次のような内容があります。

 汚染物質の排出削減を効果的に進めるために、
 削減技術を限定した規制を用いるべきではない。
 削減方法は削減主体に任せ、技術革新の余地を残した制度設計が望ましい。

同じように少子化の問題についてもそれぞれのカップルが、それぞれに合った方法で家庭をつくれるような制度設計を目指してほしいとわたしは思うのです。
もちろん、一家庭につき子供を何人つくらなければならない、みたいな規制はもってのほかですが。

2013年5月12日日曜日

自分のこと・趣味

どうも。
なんだかんだといろいろなものをかじっているので趣味を名乗れるものは数あります。
そのぶん密度が薄いということでもありますが。

写真を撮ります。
特に動物の写真を撮るのが好きです。
カメラはNikonのD90を使っています。
ハートが弱いので人の写真は撮れません。

バイクに乗ります。
SUZUKIのEN-125というバイクを持っています。
もうすぐ5年になります。
主に通学手段ですが、乗って走るのが好きです。

空想世界が好きです。
特撮・SFからファンタジーにミステリーまで、本もアニメも漫画もゲームも好きです。
まわりにいる人たちの水準が高いので、オタクという意識はありませんが見方によってはオタクといえるかもしれません。

歴史が好きです。
主に小説が情報源ですが、大学の史学系の講義も楽しく聴いてます。
始皇帝以前の中国が好物です。
日本史は弱いです。
ヨーロッパ史も大学受験レベルです。
でも歴史の話は好きです。

野球が好きです。
阪神ファンです。
セ・リーグだと阪神>>>横浜=広島>ヤクルト>中日>>巨人の順に応援しています。
パ・リーグはオリックス=楽天>日ハム≒千葉ロッテ≒西武≒ソフトバンクの順に応援しています。
自分の野球歴は大学で草野球4年のみです。
大学院でソフトボールはじめてみました。

ノウミサンみたいに、1本くらいはホームラン打ってみたいです。

2013年5月11日土曜日

わたしが会社を辞めた3つの理由

こういうタイトルは正直なところ嫌いなんですがあえて。
3つありきで理由を考えてみます。

1.逃げたい

2.興味のあることを学びたい

3.自分のペースでできる仕事をしたい

では順に。



1.逃げたい

仕事があいませんでした。
パフォーマンスはそれなりだったと思います。
上司にも同僚にもアルバイトさんにも恵まれていたと思います。
それでもあわないということはありまして。
贅沢な話ですけれども。
それと会社の中での自分のキャリアの積み方が驚くほどイメージできませんでした。
何年後にどんなポストについてどんな仕事をしたいかという画がまったく浮かんでこないというのは致命傷といってよかった。
そもそも利潤最大化を追求する、という企業の行動原則になじめなかったという問題もありました。


2.興味のあることを学びたい

社内で昇進するために社内資格の試験を受ける必要があって、勉強しないといけないわけです。
勉強することそのものは嫌いでもないしできないわけでもないんですが、内容に対してまったく興味が湧きませんでした。
知識を暗記するだけなので、問題を解く楽しみもない。
傲慢ないいかたを承知でいえば、そんな「勉強」に限りある自分の資源を使いたくなかったとでもいいましょうか。
そこで自分の関心が「持続可能性」というキーワードに集約されるんだと改めて気がつきまして、関心を満たす学びがしたいと思ったわけです。


3.自分のペースでできる仕事をしたい

相対的に、ということですが。
どんな仕事にも期限があって、それまでにやりとげないといけないという意味では究極的に自分のペースでできる仕事なんてないと思います。
ただ、ひとつのものを15分で完遂させなければいけない仕事と1ヶ月かけて完遂させればいい仕事というのはあるように思います。
わたしが会社でやっていた仕事は前者よりだったのですが、これがあまりうまくなく、より後者よりの仕事のほうが無理せずやっていけそうだと考えたわけです。


ネガティブですね。
やりたくないことをやってみてやりたいことに気がついたという感じでしょうか。
そもそもそれがやりたくないことだったというのもやってみないとわからなかったのですが。

この中で最も大きな要因は1でした。
特に自分の将来像がイメージできないというのは大問題でした。
自分が目指したい自分に今の活動がどうつながるのか、今の活動から自分の将来像につなげる道を想像できるかどうか、というのがひとつ大事だと思いました。
今はそれがわりとしっかりイメージできるのでまずは辞めて正解だったと思っています。

将来の自分が過去の自分になるべく文句をいわないで済む決断をしたいものです……。

2013年5月10日金曜日

自分のこと・専門

自分のことを少し。
知らない人むけです。
知ってる人にとって新しい情報はない、と思います。

2012年春に京都の大学を卒業して会社勤めをはじめました。
2013年春に会社勤めを辞めて京都の大学院に通いはじめました。
どうして辞めたのかとそのあたりはまた次の次の投稿あたりにでも書いてみようと思います。

大学院での専門はエネルギー経済学ということにしておきます。
日本にはおそらく「エネルギー経済学」という名前のついた学科や講義はほとんどないかまったくないと思いますが、「Energy Economics」というジャンルはありますし、自分としてはこれが一番しっくりきます。

再生可能エネルギーのこと、原子力発電のことなどなどエネルギー関連の話題にはだいたい興味を示します。
しかしなにぶん駆け出しですのであまりよくわかっているわけではありません。
再生可能エネルギー万能論者でもなければ原子力発電推進派でもありません、ということははっきりいっておきます。
再生可能エネルギーがもっと普及したらいいなぁとは思っています。

ときどき専門分野にまつわる話題も扱う予定です。

2013年5月9日木曜日

はじめる

思い立ったが何でもすぐにはじめてみるべし、ということは色々な場所でいわれていますね。
日本語では「思い立ったが吉日」といいます。
孫子も「兵は拙速を聞くも功久しきを見ず」といいました。
英語には「There is no time like the present」(現在と同じ時はない)といういいまわしがあるそうです。

そういうわけで、ブログをはじめてみました。
実は昔やっていたので再開しましたというほうが正確ですが、過去はなかったことにします。

短くても毎日投稿……するつもりです。